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2005.09.25

記念アルバム

ハチャトリアン(1903-1978)の生誕100年を記念して、ロシアで2枚組アルバムが出た。
「ガイーヌ」と「スパルタカス」抜粋、交響曲2番、「仮面舞踏会」抜粋、チェロ協奏曲、ヴァイオリンとオーケストラのための協奏狂詩曲。
前半の交響曲まではウィーン交響楽団とも録音を残してて、作曲者の指揮による。録音が悪いのかも知れないが、オケの力量差が目立つ。実況録音なのであるいは当日は、プロムナードコンサートだったか、一曲終わるごとに拍手が入ってるか、またはそれを切り取るために隙間無く繋がってしまってるのは、また御愛嬌だろう。
ライナーを取り出すと、いきなり年老いたチャップリンとのスナップが載ってる(e)。めくると椅子に掛けたコダーイとの写真(d)。(c)には何処かの工場での写真(日本かも知れない)。解説はロシア語なので読めない。

聞き進めるとハチャトリアン特有の濃密な音響よりも、仕掛けに耳が取られる。まぁ録音が古いので演奏の粗が目立つってことだが、ウィーンフィルでは聞こえなかった音が聞こえて面白い。交響曲の自作自演にもかかわらずライトな仕上がりは微笑ましい。3楽章のボレロを彷彿とさせる展開はこれまで気付かなかったし。
後半は、珍しい演目なの期待したい。
「仮面舞踏会」はバレエの筋(レールモントフか?)は判らないが、多分にサイレント映画的なコミカルさとお涙頂戴だったりする、西欧の舞踊形式の組曲。甥のカレンの指揮だが、感情過多の大袈裟なアゴーギグと圧倒的な音量で迫ればこれも凄く泣けたのではないか。。。
以下、チェロ協奏曲は珍しいけど、これもまた録音のせいか、この作者にしては才能の閃きが劣るように思う。辺境的な地方色を期待したが、主題はソ連歌謡のようだ。とすれば、これはソ連との対峙を表現する音楽なのか。ソ連的な社会主義リアリズムらしきパッセージはハチャトリアン本来の音捌きと融合することなく、そんな一面もあるかな、くらいでしかないので勘ぐってみたい気がする(冗談。単に曲が生半可なだけだろう。S.ヴォルコフ「ショスタコヴィッチの証言」に協奏狂詩曲について「まだ銅が混じってます、金に鍛え上げてください」とロストロポーヴィッチがお願いしたというのを思い出しつつ)。
ヴァイオリン協奏狂詩曲は、チェロ協奏曲の冒頭でも感じたが、出だしの技巧的パッセージでの音程が楽器にそぐわない。こちらの音感が邪魔して、そう思うだけなのか、録音が悪くてそう聞こえるのか。この曲はアゼルバイジャンではないのかも知れない。何だか響きがいつもらしくない。周辺民族の素材なのかも知れない。まとまりが悪いので協奏狂詩曲と呼ぶのだろうけど、演奏がコーガン、コンドラシンで62年録音だから初演かな。現在ではどう演奏されるのか気になるところだ。

黒を基調にしたもうひとつの記念アルバム「gavin bryars a portrait」には「gavin bryars 60th birthday celebration」のシールが貼られてる。どの音も淡々としてるので、もう終わってしまったのかと、却って驚く。この音楽は誰も何処へも連れては行かない。その場に沈潜するだけだ。
これだけ戦略的な音楽構成をしてるのに、あまりに耳当りが良すぎるだろう。心地好いではなく、擦り抜けてしまう。
クラシックというカテゴリーで書かれてはいるが、やはりブライアン・イーノとの関連を思わずにいられない、環境音楽に聞こえる。
有名なチェロ協奏曲「Farewell to Philosophy」はジュリアン・ロイド・ウェッバーにハイドンのようなチェロ協奏曲を所望されて「告別」「哲学者」を合わせた、もちろんブライアーズ風に、アイデアを利用して。
このアルバムは、作風を知るには絶好の企画だが、代表作がすべて収められてはいないので、全貌を知るには至らない。
ここでは、作者は文学的な指向が強いようだがその音は空間を満たすに弱い気がする。

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