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2005.11.13

早坂文雄

黒澤明の映画で有名になってしまったがために戦後の楽壇から忘れられたようだが、作品はかなり興味深い。

芥川也寸志が録音に残した「早坂文雄管弦楽選集−1」に収められた「古代の舞曲」「左方の舞と右方の舞」「映画『羅生門』から」「管弦楽のための変容」、どれも素晴らしい感銘を受ける。内に秘めた情熱にほだされ繰り返し聞いてしまう。

「古代の舞曲」だけでなく、これらは間違いなく、朝高時代にブラスで聞いた類の音楽だ。早坂が抱いた夢に「汎東洋主義」がある。近似性を感じてもおかしくないだろう。ハルサイ風の後半にもっと盛り上がりがあっても曲としては良いのだが、早坂はそうしない。
「左方の舞と右方の舞」は間違いなくドビュッシー「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」を意識し、独自にドビュッシーを消化したスタイルなのだと思う。
『羅生門』の音楽は特に「真砂の証言の場面のボレロ」、見事じゃないか!
この人がまだ生きて舞台音楽を書いてたら、さぞ素晴らしいことだろう。

ライナーにあるソ連音楽の影響というのはショスタコヴィッチ、ハチャトリアンの楽器法のことだろうか。

「変容」と、もう一枚の交響組曲「ユーカラ」は、傑作ではない。労作、力作の類だ。
オーケストラの実験ではあるが、成功とは判断しがたい。最近であれば様々に再現手段があり、想を練って推敲することも容易いだったろう、と思うと残念でならない。

やはり呼吸と間合いを読む舞台作品が生まれるべきなのだろう。

最近出た早坂のピアノ協奏曲を聞いてみよう。ピアノ小品集の身振りと潜みが面白かったので、期待したい。

また舞台なら、ク・ナウカの打楽器と篠笛であっても、舞台での舞踏であるとするなら、ノーノ「墓碑名第三番スペイン警察隊のロマンス」みたいな声楽と器楽の処理が自分には親しく好ましいようだ。
出来れば、テオドラキスの交響曲やカンタータでの音の使い方が今の自分には良いのだが。

早坂の「気配」。だからこそ映画音楽なのだろうけど。
後の影響を受けたとされる日本の代表的な作曲家たち(武満徹ら)が、「気配」を以て音楽が立ち現われると評されているのを思えば、時代の熱気以上に、個性として確立していたと考えるべきなのかも知れない。

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