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2006.05.06

二人のピアノ曲

Galina Ustvolskaya
Piano Sonatas No.1〜6
1番から既にウストヴォルスカヤだ。これは有名になったピアノ協奏曲に通じるものがある。重たい足取りと特徴的なトリル。神経質そうな低血圧そうなリズム・スタディ。ロマン派ではないから民族的な歌を期待してはいけない。
ソ連崩壊までほとんど存在を知らなかった。反体制でもないしで、外国メディアの注目を集めることもなかったらしく、一部の事情通にだけショスタコの秘蔵っ子として知られてた。そのためか、音楽はショスタコヴィッチ以上にショスタコヴィッチ的で、少し理屈っぽくて切り詰めた線形の音楽を書く。ショスタコヴィッチのピアノ曲に不満な自分はもっと早くに聞くべきだった。
1番のソナタが、もう少し陽気になるとグバイドゥリナになりそうな気もするが、ウストヴォルスカヤはジャズはやらない。6曲のソナタは互いに関連づけられているかの様に音を紡ぐ。螺旋を描くように徐々に互いを浸蝕するように、応用しては変容を遂げる。
この人の音のセンスは間違いなく見事だ。
最高音域と最低音域を併奏するのは、非人格的な響きがするが、ショスタコヴィッチ同様に平均律の不協和を避けるためだろうか。と、すれば、そういう耳の持ち主ということだろう。
奇数番が佳い。偶数番はその間を埋める。例外は6番で、新境地到来を告げるようにクラスターが連打される。
この人の作品の難点は曲が短いことだ。それでも、内部奏法がないけど音響実験の記録として、興味深く聞ける。

John Foulds
Piano Music Kathryn Stott
最近、インド趣味の作曲として評価が進むフォールズ(フールズ)。第一次大戦頃の、世界は不思議に満ちている、といった感じの音のエッセイを集めた、演奏者のためのアンソロジー。
ケルト主題もあるが、(気にしなくても良い程度に)西洋人が見た東洋が時に痛い。
サロン向け音楽なのだ(それにしては技術が達者でないと弾ききれなだろう)から、そんなことは忘れてリラックスして楽しめば良いのだろう。作曲家本人は真面目にクラシック音楽を書いてたようで、中には、(時代を先取りした)紛れもない現代のイージーリスニング系作品がある。
残念ながらピアノで微分音は出してない。
作曲家が発見されるのに時間が掛かったのはインドで客死したため、後半生の作品が散逸しているからだ。
とはいえ、ポピュラー音楽のような和声、ダンディ、スクリャービンありで、作風はリスト、英国の作曲家のような民謡編曲(?)と雑多だ。
ライナーにはミニマリズムを先取りしたように書かれてるが、そうは思えない。繰り返し(オスティナート)の範疇だろう。むしろ先取りしたとすればポピュラー音楽の響きとスタイルだ。

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