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2006.08.27

WILLIAM GRANT STILL

NEW WORLD RECORDS 80399-2




"Works By William Grant Still" (New World)


米国の黒人作曲家の作品集。
冒頭のヴァイオリンとピアノの組曲が実に充実した内容で素晴らしい。音楽地盤を黒人音楽(アフリカ、スペイン、ネイティヴアメリカン)としてる作曲家らしく叙情的でtendernessな風情に、シンコペーションの力強さが加わる。作曲年を見ると作者48歳の作だ。これだけの内容で舞台演目に入ってないなんて信じられない。

Songs of Separation
朗々たる歌声、軽やかな歌、ドラマチックな悲歌。ピアノ伴奏が効果的だ。
Incantation and Dance
原曲はオーボエとピアノだが、ここではフルートで。昼下がりの憂いを含んだ涼やかな調べは路地裏の嘆きで、情景的で素朴な踊りは市場の風景か。
Here's One
黒人霊歌の編曲。重たい足取りで一歩一歩進む様が描かれてるようでとても印象的だ。
Summerland
この人のトレードマークに近い作品。ピアノ曲の弦楽四重奏、フルートとハープ合奏編曲。まるでフランス印象派の作品のようだ。
Citadel
Song for the Lonely
ピアノ、弦楽四重奏とコントラバス(?)伴奏の、後期ロマン派と印象派の情景的な歌曲。
Out of the Silence
これもピアノ曲からの編曲で上記編成にフルート。
Ennanga
アフリカンハープの効果を模した急緩急の組曲。急は、初期の素朴なラグタイムのようにも聞こえる。緩はバラード。泣きはないのにたいそう美しい。
Lift Every Voice and Sing
リンカーンの記念式典のためにジョンソン兄弟が作曲した歌の編曲。

作品が実に清潔で、志の高い音楽だ。もしこう言って良いなら、まだアメリカが理想を抱いていた頃の音楽だ。
この作曲家は日本ではあまり有名ではない。ボストンでチャドウィックに、ニューヨークでエドガー・ヴァーレーズに学んだ。前衛音楽は書かなかったようだが、ヴァーレーズは音響の位相に敏感だった人と思うので、作品の奥行(舞台で言えばホリゾントかな)を付けるうえでは間違いなく影響を受けたと考えるが、どうだろう。

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Posted by: katute | 2006.08.28 06:35 PM

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