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2006.10.08

CD試聴記

20/21 - Gruber, Eötvös, Turnage
グルーバーを聞きたくてHåkan Hardenberger の新譜を封切った。
前半のモットーとしてエミリー・ディッキンソンの詩を掲げる。ディッキンソンはブレイクとエマーソンを合わせ持つといわれる米国が正統派と認める詩人だが、この曲には内容的な繋がりはない。
前半は北極光の微細な大気が描かれ、なるほどスウェーデンBISが録音しただけの事はある。緩やかに姿をかえる光が繊細に描きだされて見事だ。
後半はジンジャー&フレッドの30年代の映画シーンを意識したというだけあって、緩やかにダンスステップが織り込まれているようだが、それは聞く側が補わなければいけないのかも知れない。それにしても、この音楽は指揮者にとってやり甲斐のあるものだろうと思える。指揮者にとっての古典的な身振り満載で、それが「あぁノスタルジックな」と思わせる雰囲気を醸し出してるのだ。この緩い揺れが新鮮で心地良い。

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ペーター・エートヴェシュのジェット・ストリーム
どこがジェットストリームなのか。おそらくオーケストラはホワイトノイズを発し、リスナーがジェットストリームに乗ってたら聞こえる音であろうか。ならばそれと対比するトランペットは何だろう。間延びしたハルサイがノイズの中に聞こえる。

ターネイジ
ジャケットにはロカビリーな装いのポートレート写真。こうした音楽を書くのは初めてでないターネイジ。いつもの流儀になりつつある。小太鼓は左右に音が移動するから4台あるのか。これを切っ掛けにボレロをやるのか、と思う間に、面倒臭くなってしまったらしい。この不機嫌さ加減がターネイジの真骨頂。

G. Fisher: Passion Of St. Thomas Moore
擬古典的装飾音が特徴的な作品。これが21世紀に書かれたのは驚きだ。
本来はヴィオラ・ダ・ガンバだったパートをギターが演奏してるようで、それがより近代的な響きで、コール・アングレとバランスしてるように思える。
作曲家の感性が捕らえた音楽はインディアン・ハルモニウムをベースにしたために、通奏低音が支配的で西欧思想であることが鮮明で、スウェーデン民謡をメロディ・ベースとして循環する(インド風歌唱を取り入れたらマイケル・ナイマンになってしまう)。
打楽器は日本の和太鼓らしい。
リズムが支配することはなく、ハーモニーによる悦楽の瞬間も訪れない。
ホルスト『サーヴィトリー』を思い出したのは、遠い響きと聞こえたからかも知れない。

ネット上の紹介記事--------------------------------------------------

Emily Dickinson
Wild Nights! Wild Nights!


トマス・モア

どこまでも透明で美しい響き! 『聖トマス・モア受難曲』

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Comments

ギャレット・フィッシャーは『聖トマス・モア受難曲』を書くのにスウェーデン民謡の力を借りてる。
北欧の音楽は時として非常に美しい。けれど、アンチクライマックスなのだ。高潮した感動のクライマックスを期待すると肩透かしを喰らってしまう。何事もなく、そのまま終わってしまう。そうした構造のままに構築された天使との(悪魔としての)ヘンリー8世との対話が『聖トマス・モア受難曲』だ。
仮面劇の音楽なので聞くと単調だけど。

Posted by: katute | 2006.10.13 04:35 PM

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