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2007.08.30

音の遍歴

Hans Otte : Das Buch der Klange
初めて聞いた時は、これが音楽だと認めたくなかった。「スカ」だと思った。
今こうして聞き直すと、『チベットのモーツァルト』を読んだ頃を思い出す。ブラウン運動をする音の粒子。
そうだ! これこそあの時に書こうとしてた音だ。毎日飽きずに同じ鍵盤を叩いていた、あれだ。和音もスケールも知らずにただただ自分の耳が気に入る音を探しては繰り返し鳴らしていた頃の音。
夏だからか、村に迷い込んだ青年を描いたエリアーデの短篇小説を思い出す。同じ頃に読んだ『傷ついた龍』の幻想に美しい村の、風景や習俗なども。それを音にしようとした時にまたこうして同じ音を何回も鳴らしていたっけ。

メロディを付けようなんて思いあったがために結局は今も書き上げていないけれど。こういうものじゃないと駄目だなんて固定観念が出来てしまってたんだな。すでに先入観があったんだ。
引算をするほどにも賢くなかった。
反響、残響、倍音、減衰。少しは出来るかな?

最近に思う。以前は気を遣ってばかりで何も出来なかったが、今は気を使うことを忘れるほどにズーズーしくなれたのも折角だから、それを愉しんでみよう、と。
若い頃はマズイものには腹を立てたが、その奥にある何かを味わえるようになった気がする。たぶん、若かったから気が付かなかったんだろう何かが。こういう奥深さを経験するのも年を取る意味だろうから。

ハンス・オッテは1926年生まれで、これは1979-82年の12曲の連作集。
自分がこうした身振りが分かるようになったのはモンポウを知ったから。モンポウはもっと作品として音楽を彫磨してるようだけど、そういう置き方もあるよと教えてくれた。
オッテの音楽はインスタレーションのよう。これで良いんだ。

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Comments

>そうだ! これこそあの時に書こうとしてた音だ。毎日飽きずに同じ鍵盤を叩いていた、あれだ。和音もスケールも知らずにただただ自分の耳が気に入る音を探しては繰り返し鳴らしていた頃の音。

これってシェルシが施設に入ってた時と同じじゃないか!

Posted by: | 2007.09.07 05:49 PM

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