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2007.09.10

読了『はじめての応用行動分析 日本語版』


"はじめての応用行動分析 日本語版" (ポール・A. アルバート, アン・C. トルートマン)

図書館で借りた。1章は応用行動分析の概説。2章から6章までの前半は実験計画法の概要。よく書けている。後半がいよいよ行動分析の講習になる。そう、これはテキストブック、教科書なのだ。全般に目を配った良い教科書だ。結局、構造化って、色々出て来るね。 「応用行動分析」の事を、ABAと略すのは別の本で知った。 それと、Lifehacksや自己実現って、多くが、ABAを学べば、十分なんじゃないか(ABAからの借り物、二番煎じなのではないか)?

"自閉症児の心を育てる―その理解と療育" (石井 哲夫)
久しぶりに読み切れなかった。真摯な人なのだけれど、過去の言及が多い、今の自分には時間が足りない。

(以下、自分のメモもかねて、目次入りのかなりの長文)

はじめての応用行動分析 日本語版第2版
P.A.アルバート/A.C.トルートマン 著
佐久間 徹/谷 晋二/大野裕史 訳

目 次

第1章 応用行動分析の基本的な考え方 1
 説明の有用性とは? 2
 生理学的説明 2
 発達的説明 6
 認知的説明 11
 行動的説明 15
 行動主義の歴史 20
 要  約 26
 討議のテーマ 26

第2章 応用行動分析を適応するに当たっての責務 27
 応用行動分析に対する高い関心 27
 応用行動分析の適用倫理 31
 説明責任 38
 理論と実践 43
 要  約 43
 議論のテーマ 43

第3章 行動目標の作成 45
 行動目標の定義と目的 46
 教育目標 48
 行動目標の書式 55
 行動目標の範囲 59
 行動目標と個別教育プログラム(IEP) 64
 要  約 66
 議論のテーマ 67

第4章 データの収集とグラフ化 69
 データ収集法の論理 69
 方法の選択 71
 逸話的レポート 74
 行動的産物記録法 78
 観察記録法 80
 持続時間記録法および潜時記録法 99
 信頼性 102
 議論のテーマ 105
 要  約 105

第5章 データのグラフ化 107
 単純な折れ線グラフ 107
 要  約 120
 討論のテーマ 121

第6章 一事例の実験デザイン 127
 変数と関数関係 127
 実験デザインの基本カテゴリー 128
 ABデザイン 133
 反転デザイン 136
 基準変更デザイン 141
 マルチ・ベースライン・デザイン 146
 操作交代デザイン 155
 チェインジング・コンディション・デザイン 162
 一事例の実験デザインの評価 167
 要  約 171
 討論のテーマ 171

第7章 行動の生起頻度を増大させる随伴操作 175
 正の強化 177
 効果的な強化子の選択 177
 負の強化 208
 自然な強化 212
 要  約 213
 討論のテーマ 213

第8章 不適切な行動を減少させる結果操作 215
 問題行動を減少させる方法 216
 レベルⅠ:分化強化の応用 217
 レベルⅡ:消去 224
 罰 229
 レベルⅢ:好ましい刺激の除去 230
 レベルⅣ:嫌悪刺激の呈示 237
 要  約 247
 議論のテーマ 247

第9章 分化強化:刺激制御とシェイピング 249
 刺激制御を形成するための分化強化 250
 複雑な行動を教える 265
 シェイピングのための分化強化 271
 要  約 275
 議論のテーマ 275

第10章 機能査定と機能分析 277
 他の方略の必要性 277
 第1段階:機能査定 283
 第2ステージ:機能分析手続き 292
 要  約 300
 議論のテーマ 300

第11章 行動変容を般化させるために 301
 般  化 302
 要  約 323
 議論のポイント 323

第12章 行動自己管理の指導 325
 当たり前の経験 326
 行動管理の指導準備 327
 重度の障害のある人の自己管理 338
 中度の障害のある人の自己管理 339
 要  約 339
 論議のポイント 339

第13章 教室での実践 341
 刺激制御 341
 教室での実践 346
 要  約 360
 論議ポイント 360

付録:専門的諸団体による嫌悪的な行動介入を避けるための決議 361
 アメリカ精神遅滞市民の会による行動支援に関する意見声明(1995年10月) 361
 例外児のための評議会による身体的介入に関する方針(1993年4月) 362
 アメリカ精神遅滞学会による嫌悪手続きに関する方針(1990年1月20日) 363
 重度障害を持つ人々の連盟による不要な介入の中止についての決議(1986年11月5日) 364
 全米学校心理士連盟による体罰についての決議(1986年4月19日) 364

参考文献 366
索  引 394
用語索引 398
訳者あとがき 407
日本語第2版訳者あとがき 409
訳者紹介 410

目次の通り、各章毎に、要約と討論のテーマの提示がある。
第1章は、行動分析学の基本を、第2章は、行動分析学特有の注意、第3章は、特に、読者対象である教師を念頭に置いて、教育目標等の設定について、第4章から第6章までは、行動分析学に必須の実験計画法について詳細に示す。
第7章は、随伴操作、正の強化子について。
正の強化とは、行動と結果の関係、正の強化子とは結果事象それ自体。条件反射とは逆向きで、望ましい行動あるいは要求された行動の直後に提供される、結果で行動を調整しようとするもの。これが基本。
報償と考えて良いのか。強化子の選択も重要。対象に合わせないと意味が無い。『プレマックの原理』。二次性強化子、つまり、発生頻度の低い行動の直後に、高頻度の行動が続くのであれば、高頻度の行動を正の強化子に使えるという事、算数の問題を終えたら、外で遊んでいいとか。これは判りづらい。報償として良く使われる『トークンンシステム』。教室内だけの通貨のようなものだな。これの応用に、グループに対して、レベルの上下で調整するレベルシステムがある。これはハリポタのポイントシステムに近い。但し、どの場合でも、事前に生徒に評価基準を明確に使える必要があるのは言うまでもない。特権や賞賛、注目、承認でさえも、報償になり得る。
契約も重要。公平さを期すためでなく、契約自体が強化子になるのだ。
強化スケジュールの調整。連続強化、間欠強化、間隔、変動間隔があるが、一度定着すれば、変動の方が良さそう。結果を必ずモニターして、戻っていたら、即座に、スケジュールを調整して、強化を行う。
負の強化。行動の直後に、嫌悪的な要素を取り除くこと。
「不適切な行動をする生徒の多くは、授業という嫌悪的な状況から逃れるために、不適切な行動を行っている」。要は、だだをこねた時に、言う事を聞くと、だだを強化する事になると。これは、生徒だけでなく、教師/親にも作用する!
「生徒が指示を理解できない時、間違った行動で困惑するより、問題行動を起こして、指導場面から逃避する」事がある。また、問題行動自体が(自分でも知らないうちに)負の強化で維持されているケースがある。「髪をとかして欲しくない時に、腕を噛む、髪がとかされない=>しばしば腕を噛むように見える(実際には、髪を溶かそうとした時に起こる)」の例。自分の意志を伝える手段を教える必要がある。
第8章は不適切な行動の減少。方法は、分化強化、消去手続き、要求刺激の撤去(レスポンスコスト法、タイムアウト法)、嫌悪刺激の随伴呈示の4レベル。
分化強化の応用。スケジュール法の応用、一定範囲に収まるように、回数を数えるのが基準。自信が無くて、質問回数が多い子に対して、段々と減らすように、減らせたら、好きな事(黒板拭き)をさせる等。
他行動分化強化。ある事をしない事を強化する。難しいように思う。ある事をしなければ、他に何をしても良いのだから、別の問題が起こりえる注意もあるし。
対立行動や代替行動の分化強化。こっちの方が判り易い。
消去。強化子を取り除く事で、行動を減少/消去するもの。不適切な行動の強化子になっているものを取り除く訳。消去の問題点:『反応の遅延』消去には時間がかかる!『反応率の上昇』好転する前に悪化する事がよくあるらしい。消去手続きを始めたら、どんな事があっても、無視し続ける(そうでないと、強化になってしまう!)。『注意の統制』(無視しているのを悟られてはいけない)。『攻撃性の発生』、『自発的回復(勝手に回復してしまう、様子見なのか』、『模倣や他者からの強化』、『般化のしにくさ(他の場面には応用できない)』。『感覚消去』(手触りが気に入っているなら、そのものの手触りを変えるとか)。
レベル3と4では、結局、『罰』を使う。但し、罰は、行動に対する効果からのみ認定されるもの、行動を変えられなければ、罰ではない(いじめとか別の刺激/行動になる)。
レベル3のレスポンスコスト法:『望ましくない行動があったら、強化子を取り除く』。トークンシステムや日常にあるような形の罰金とか。ペナルティが大き過ぎたり、小さ過ぎても、効果がない。
レベル3のタイムアウト法:タイムアウト手続き、要は、反省室に居なさい、という事だが、これも使い方を間違えると効果がないし、どうも、この手段には外部からの避難が多いらしい。スケジュール法が幾つかある。重度な問題行動に対して使われる非隔離タイムアウト手続きに、顔面遮断、視覚遮断というのがある。異食、自傷等の行動に対して、行動を止めさせて、すぐに、タオルや手で相手の目を3秒程(1分という説もある)覆う。その後は、指導を続ける。この他、排除、隔離がある。但し、隔離タイムアウト手続きは間違ったやり方が多すぎて、ABAへの非難の元になっているようだ。公的な承認無しにはやってはイケナイそうだ。
レベル4:嫌悪刺激の呈示:体罰を勧めている訳ではない!ガイドラインの作成が必須。個人がやる時も、そうだろうな。拘束には、代替行動を強化しない、不適切行動が逆に強化される可能性、拘束自体を逃れようとする可能性、拘束がどちらにも害になる可能性がある。
言語に寄る叱責:(1) 相手の目を見る、手をしっかり握ると効果がある、(2) すぐそばでやる、(3) 一人を叱責すると、その周辺も抑えられる。これらは、事前に随伴性を言明して、結果の適用を一貫して即座に行う。そうでないと、効かない。
また、罰だけでは、何も学ばない事も注意。適切な行動の強化と一緒に行うべき。罰には即効性はあるが、問題点として、反撃や、引きこもり、逃避を起こしたり、教師が不適切なモデルを示す事になりかねず、また、罰が明確に伝わっていないと意味が無い(何が行けない事なのか)、『罰』と思っていても、相手はそう思っていない可能性もある(大人を苛つかせる事自体が楽しいのかもしれない!)。
過剰修正:『原状回復過剰修正』状況を混乱させた場合に、元通り以上に修正させること。紙くずを床に捨てたら、それを拾って、ゴミ箱に捨てて、その周辺の他のゴミも同じくゴミ箱に捨てさせる。『積極的練習による過剰修正』は適切な行動を誇張して練習する。行動の練習の際に、声で行動を唱えさせたり、手をひらひらする場合には、大きく動かす体操を練習させる等。
第9章は、分化強化:刺激制御とシェイピング
既に知っている反応を適切な手がかりやシグナルの制御下に置く事を刺激制御、全く新しい事を教える方法がシェイピング(手を添えてやらせるとか)。
弁別が基本。この弁別の訓練もある。
概念形成:多くの正・負の事例を示し、正反応を強化する。
プロンプト:一般に言うプロンプトと同じく、手がかりを与えること。言葉の指示だな。ヒントとしても使う。
自己操作性言語プロンプト:手順を録音しておき、プレイヤーを操作して、それを聞きながら、作業を練習する方法。
視覚的プロンプト:PECSとか。
モデリング:お手本の実演とか。
身体誘導、フェイディング、段階的誘導:言葉の通りの方法。かなり気長にやれば、手掴かみで食べるのを修正できそうだ。
時間的遅延:プロンプトを出す時間を遅らせると言うこと。教師なら、自然とやってるような。
刺激制御は、般化をプログラムする強力なツールらしい。第11章で般化を扱う。
効果的なプロンプト:注意を向けさせるもので、そらすものではいけない。出来る限り弱いものであるべき。出来るだけ早くフェイドアウトすべき。計画性の無い使用は避けるべき。
複雑な行動を教える:課題分析、課題連鎖。当たり前な気がするが。
シェイピングのための分化強化:新しい事をやらせる方法。目的の行動に漸次的に接近して行くための分化強化。初めに、目的を明確にする。初期行動(今出来る中で近い行動)を見つける。段々変化させて行く。
第10章 機能査定と機能分析とは、つまり、行動を引き起こした先行事象、行動を維持する結果事象、不適切行動と同じ機能を持つ別の適応的行動を教えられるか、の疑問に対して、答えを見つけるもの。かなり専門的な手続きになる。
第1段階:機能査定。情報提供者を対象とした査定手続き。行動的インタビュー。行動評価スケール。見る点は、感覚強化、逃避、注目、物質的強化がどうなっているのか。
第2段階:機能分析手続き。(ここからは省略する)
機能的等価訓練:適切な行動で置き換えようとしているもの以上に、効率的に強化子を受けられるもの出なければ、ダメ。
第11章は、般化。難しいという訳か。
訓練と般化の見込み:意図しない般化が起きる事もあるって。節を割く程の事ではない気がするが。
連鎖的変容:1つの場面で成果が上がれば、他の場面でやらせる。普通だな。
代表例教授法:同一性、異質性を基準に、代表例を多数教える。うぅん。
少々ルーズな指導法:音声模倣の訓練で、1つをきっちり教える方法より、1つのセッションで多くの種類を教える方がうまく行くらしい。
この辺りはトリッキーで難しい。
共通刺激をプログラムする:例では、相談室で話せるようになった後、次に、そこに数人の子供、黒板、机、と教室に近づけて、教室でも話せるように。
この方法は、実際の場所で訓練する事が一番いいのかもしれないという事になる。
般化メディエートと、般化訓練法:別の場面で獲得した行動を示したら、特に、強化を受けるようにすると言うもの。これは効果がありそうだけど。受け身だな。
第12章は、最終段階と言って良い。行動自己管理の指導。自分の行動をモニターしながら、変容が計れる。認知的訓練、メタ認知戦略とも言う。
行動管理の指導準備。
目標設定:自分で決めるようにする。
データの自己記録:自分で記録を取る事だけでなく、自己評価(標準的なパフォーマンスと自分のパフォーマンスを比較する)も含める。自己記録だけでも、『反応効果』と言って、行動が望ましい方向に変化する事がある。
自己評価:上の通り。
自己強化:随伴性を自分で決定する。自分で褒美を出したりとか。
自己罰:レスポンスコスト法をやるとか。自己強化の褒美と組み合わせる方が良いかも。
自己教示:言葉で、自分自身にプロンプトを与えること。手順としては、大人がハッキリ声に出してやってみせる、声の指示に従ってやってみる、自分でハッキリ声に出してやる、自分に小声で指示を出しながらやる、内言語で誘導しながらやる。
第13章は、教室での実践を目標にする。
刺激制御として、教室の、物理的な配置、時間の構造化、指導環境の構造化、(目標と目的、指示の出し方)、言語環境の構造(ルールの明確化)、明確化(効果的なルールは、行動で判断できるもの)、効率性(節約の原則だな)
この後は、幾つかの例の紹介。

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Comments

 眼の病気(黄斑変性症)の病変部位の影響で、縦書きの文章を読むのが困難です。「飼い猫から配偶者まで うまくやるための強化の原理』は縦書きですが、本を横にして、ルーペなどを使って10日間程かけて何とか読了しました。次に「はじめての応用行動分析』を読もうと思うのですが、また縦書きだったら、と思うと気が重くなります。こっちも縦書きですか?教えて下さい。縦書きなら、数日かけて気合いを入れて注文します。よろしくお願いいたします。

Posted by: 清水 進 | 2016.03.11 at 11:34 AM

冒頭に書いたように図書館で借りたため、手元に無いのですが、自分が読んだ版は間違いなく横書きでした。左からめくって読みましたので。

Posted by: 本人 | 2016.03.11 at 12:06 PM

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