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2007.10.09

読了『自閉症への親の支援』


"自閉症への親の支援―TEACCH入門" (エリック ショプラー編著)

図書館で借りて読んだ。 TEACCHとは、ノースカロライナ州で行われている自閉症者へのトータルな療育支援プログラムのことで、自閉症を発達障害と捉え、生涯のサポートが必要と認識する。何か特定の手法や技術を指す訳ではない(と思う)。今の各種技法は、30年に及ぶ全州規模の実践から発展してきたもので、一貫性を重視、親は共同療育者、教師の訓練を基本にしているシステム。 この本は、専門家のご高説を承るものではなく、実際に、自閉症児の親が直面した問題行動に対して、創意工夫で乗り切った事例と、専門家の観点からのその工夫への賞賛と改良可能な点を述べたもの。親が組織した会が主体になった事例集。こうすればいいと言ったようなマニュアルではなく、古くなっている部分もあるが、非常に役に立つ。

各章毎の表紙には、氷山の絵で、表面に現れた問題行動、海面下の原因と思われる問題を表している。
幾つかの事例をメモ。

目次
第1章 はじめに—親と専門家が同じ目標をめざす
第2章 反復行動と興味のかたより
第3章 コミュニケーション
第4章 遊びと余暇
第5章 攻撃的な行動
第6章 トイレの使用と衛生管理
第7章 食事と睡眠
第8章 行動への対処
第9章 地域支援

1章:
歴史的経緯からフロイト派による精神分析理論を、その破壊的な悪影響から否定。その他の非科学的なものもバッサリ。
TEACCHでは自閉症者への支援を行う際の6つの実践の原則がある。
 適応(優先するのは、各自の適応力を改善する事。完治すると言う一時的な病という見方はしない)
 アセスメント(綿密な評価。)
 構造化された教育(個々の情報処理能力に応じた構造化で教育を機能的にする)
 能力向上のために優先する事(現在の能力を向上させる事を優先。出来ない事は徐々に出来るようにする。無理にさせる事はない。)
 行動理論と認知理論(コミュニケーションレベルを手がかりに、必要に応じて行動理論による介入を行う)
 ジェネラリストモデル(親も含めて専門家は、すべてに関して関与すべし)
(ダメな治療法の発生についても述べている)
2章:
社会性やコミュニケーションの問題からのいらだちで、反復行動が現れる可能性。
強迫的で儀式的な手順
あらゆるスイッチを触ってしまう子の場合、適切な時間や場所の理解に欠けるためだったらしいので、特定の時間に教室や家の灯りを点けたり消したりする役割を割り当てる事で、適切な時間や場所を理解して、スイッチ類に触らなくなった。こだわりが罰で改善しないので、適切な行動で置き換えるように修正したのだ。ドアの開け閉てで遊ぶ子も、玩具の車庫で練習して、適切な使い方を理解した。自分や他人の靴ひもを片っ端から解いてしまう子も、実は、紐の結び方を教えて欲しかったのを見抜いた父親によって、紐の結び方を習ってしなくなった。
常同行動(自己刺激行動)
シャツを噛む子に、違う感触シャツで対策。手を舐める子にプラスティックの手袋。水遊びをする子に、洗い物を教える。等。刺激を取り除いたり、置き換える。行動療法だよね。
3章:
単語が多過ぎることによる混乱。長くて完全な文の代わりに、単語と指指しでもコミュニケーション可能。
代替コミュニケーションシステム。代替システムがある方が言語理解が良くなる研究結果がある。アイコンタクトが苦手な自閉症児はサイン言語の習得が難しいので、他者に気づかせるよう、くすぐりから始めて、次第に、相手の体の動きを真似させ、それをサイン言語に形作る(シェイピングだよね)方法が有効と言う報告もある。
写真カードを工夫した例。
コミュニケーションできない事で、パニックになる事もある。
書く事(書いてもらった事を書き写す事も含めて日記)で、過去の場面の確認が出来たりする。
自発的なコメントを大袈裟にでも褒める事で、自然な会話に導く。
4章:
玩具で遊ぶ事も学ばせる必要があるかもしれない。
抱っこに、仲間を入れて行く事も必要かも。
本や雑誌をめくるのが好きな子の場合、専用のコーナーを作って、他の本に手を出さないように出来るかもしれない(構造化の応用)。
多動児なら、トランポリンを買って、近所の子と一緒に遊べるようにするとか、一緒にジョギングするとか。
5章:
頭突き。耳の感染症のせいで痒かったから頭突きしていた例も。学校の休み時間にやる事(遊ぶ手順)を教える事(構造化)で、頭突きや常同行動を無くせた子もいる。
頭突きと同じものとして、卵をぶつけて割ってみせて事の問題を目に見える形で示すのもあり。
噛み付きに対しては、ストレスのもとのイジメに対して、『やめろ』と叫ぶ事を教えて、改善。
鼻の皮を剥く行動に対しては、拘束(紙の筒で手が届かなくする)を使った例だが、拘束は、効果がなければすぐにやめるべきと注意がある。
他人に対する攻撃も、コミュニケーションのストレスの場合がある。Yes/Noで答えられる質問を重ねる事で、意志を確認でき癇癪を減らせた。
本を破かれないようにする、プラスティックコーティング、か。難しいかも。
6章:トイレ
過剰修正を使う親も多いのだな。
トイレに行く、服を脱ぐ、便器に座る、排泄する、服を着る、活動に戻る、これらを更に小さいステップに分解して、練習させる。
7章:食事と睡眠
1口食べて歩き回る、この子の場合に、親がまず食べ終えたら『ごちそうさま』と言って片付ける、他の家族の分もそうする、この子も立ち上がったら、『ごちそうさまなのね』と言って、片付ける。これで、ルールを覚えたそうだ。手本を示す。
8章:
行動理論の説明。
不服従の改善とか。
歩き回る癖に対しては、自立を望んでいるのなら、徐々に拘束を減らす(腕をつかむ、指先を持つ、袖をつまむ)で改善。

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