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2007.12.23

読書メモ

いくつか感じたことをメモしておく。

『ベクテルの秘密ファイル』
広瀬隆が多大な影響を受けたろうことが、その後の著作からうかがえるので、広瀬ファンには解毒剤として必読の書。
土木建設業で成り上がっていくアメリカン・ドリームとして米国史として、国内はもとより外交も含めて現代史の局面をとらえてるのが何とも皮肉だ。こうして国を動かし資金を集める(予算を付ける)事業モデルが破綻しないのが不思議でならない。日本の箱物行政やバラ撒き政治そのまま、著者も納税者の税金であると指摘はするが非難してるようではないのが経済記者っぽい。
中東アラブとの仕事のためにイスラエル・ボイコットを続けたベクテルが今回のような9.11後の情勢から脱落したように思っていたが、それは早計にすぎない。
インドの核実験の歴史に注目せよ! その後の対応と最近の北朝鮮との折衝の経緯を。

『それでも私は腐敗と闘う』
ニュースでコロンビアという国の刹那な生活を垣間見て南米の不思議を思っていた。なぜ歴史的に理解できないのか、その知識を知らないのか。学校教育では必要な知識が得られない、特に歴史に関して。
それを補えるかと偶然に読み始めた。
内容や著者に関して語れるほどの資格は自分にはない。むしろ、この本を読んで自分を変えられ恥ずかしさが残る(著者は61年生、まさしく同じ年代)。
しかし、ベタンクールの政治の目的はシンプルだ。脆過ぎやしないかと思うくらいに。だからこそ清濁併せ飲むことすら嫌う、女性ならではの愛情を見る。両親、家族への愛、祖国への愛。それが読む者を捉えて放さない。
そこから離れて、中間部で語られるの政治の裏側、内幕との駆け引き。
「善人が損をするのは現実への認識が甘いからだ」と言われるが、ベタンクールはまるで意に介さないかのよう。
けれど、この本の白眉は著者自身が意識せずに書いた米国と中南米との関係だ。
冷戦などただの関税障壁であり、密輸という商行為を独占するための隠れ蓑であり、そのバックドアとして中南米を擁していた。中南米が反米的になるのは国内政治の人気取りであったり、米国の敵の敵であったりするからだ。
覇権やビジネスモデルとしてではない冷徹な現代史として米国の商行為と意識を分析する必要があるように思う。

『ウルトラ・ダラー』
まだ読み始めたばかりだが、作家としての弱点が序章で明らかになっている。
物語のシノプスを作り上げてから必要な取材でディテールを補ったろうことが透けて見える。だから肝心の職人的な核心部分が欠落してリアリティが揺らぐ。いや正確には著者の性格を反映したろうように気障な文言が決め台詞のように並ぶ空虚さを味わうために多くの時間が費やされそうだ。


"ベクテルの秘密ファイル―CIA・原子力・ホワイトハウス" (レイトン マッカートニー)


"それでも私は腐敗と闘う" (イングリッド ベタンクール)


"ウルトラ・ダラー (新潮文庫 て 1-5)" (手嶋 龍一)

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