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2008.01.04

『わが朝鮮総連の罪と罰』

今年最初の読了。
以前から気になってた。イルクンは読んではならないとされてたように思う。
タイトルから予想されるような内容ではない、と第一章を読むと思う。いわゆる自叙伝だ。総連にオルグされた経緯を帰国事業を背景に語られる。
第二章はロバート・ベーア『CIAは何をしていた』と並べても劣らない。むしろスカウトについて、より具体的な位だ。
第三章は間奏曲だろうか。残念ながら『ウルトラダラー』並みだ。事象は語られるが、当時の政治的判断としては具体性に乏しい気がする。
ようやくにして第四章以下でタイトルに相応しい内容が語られる。少し図式的な感も拭えないが要は経済中心へと移行して堕落が始まった、と言うのだ。
取材構成した野村旗守の人間感情の機微の描き方が見事で、読後この人への認識を改めた。なんと言っても各セクションに話題を納め、若干のほころびがあるとしても知性ある文章に見事に仕立てている。
聞き書きであるからか、自分にも判る極端な言い切りがある。それでは誤解を招くが、客観的には、そう見えるだろう。
それでも刮目すべきは、総連活動資産の調達についての謎が解けた。
帰国者の財産を譲り受ける。
帰国事業の継続として在日から集金する。
組織的事業として遊戯業、不動産業、飲食業を始める。
カネのために同胞の事業を侵食する。
これがタイトルの骨子だ。
ただ、それを一人の責任とするのは無茶がある。組織を動かすのは個人ではない。
著者らは、総連が、北朝鮮が、戦後急速に諜報組織を確立する知恵をどこから仕入れたかを知るべきではないだろうか?
植民地解放後すぐに諜報活動が優先される国是を築いたことに疑問を持つべきではないか。
まるで、市場の見えざる「神の手」を問うようなことかもしれない。
構成者が聞いた話を裏付ける取材を加えていないだろうことは名称の不明確さから推察できる。

しかしながら未だ今日的命題を帯びるのは皮肉なことに金融スキームだ。地上げ、迂回融資、トンネル会社、そうした隙間産業を必要とする日本経済の歪(いびつ)さ。それを一手に引き受けてバブル経済を後押しするカタチとなり結果的に破綻した。

それを特定の誰かのせいにするのは、次のステップへのスケープ・ゴートを探しているに過ぎない。
現在進行中の、公共性が認められないとする裁判所判断は、やがて総連の(日本国政府による)国有化という結論を生むのではないだろうか。
米国からの年次改革要望書にあるヤクザ利権の排除と外資参入障壁の撤廃は同時進行でなければならない。
総連も逃げ道は法人化だ。となれば買収可能だ。
現在の自民党下部組織のような地位から外資の手先へとスライドするだけだから心配ない、と説明するんだろう。その方が広範な理解得られて、よりグローバルな活動が可能になる、とか言って。
だから在日も株主となるために資産を投資せよ、と。
そのためには日朝国交正常化が是非とも必要だ。。。
悪い冗談はこのへんにする。

この本に正式名称が一度も登場しないので記しておく。
在日本朝鮮人総聯合会
今となっては職員自らの給与のための組織としか映らないが、本来は何をするために組織されたのかを考える切っ掛けとして。


"わが朝鮮総連の罪と罰 (文春文庫)" (野村 旗守, 韓 光煕)

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