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2008.01.26

ミニマル音楽祭

もう入れないかも知れないと思いながら会場へ急いだ。着いてみると十人ほどが並んでるに過ぎなかった。作曲家の同世代か教え子たちなのだろうか、ずいぶんと年配の人たちばかり目立つ。席に着いて開演を待つ間に読み刺しのほんのページをめくっていた。予備報で顔を上げると場内はほぼ埋まっていた。わざわざ前の頭を避けていたのに気の利かない男性が真前に座った。仕方ないので半身を逸らして隙間から舞台を見る。


伊福部昭を巡る作家たち

伊福部昭 絃楽五重奏のための「日本組曲」。これはピアノ・アナリーゼとして上手く出来ていて内声部までがハッキリ聞こえる。オスティナートは単なる繰り返しか?考えてしまう。言い直し、くらいな味付けはあって良いのではないか。あっさりした音響はクロノスSQが演奏すれば面白いかもしれない。あまりにもベタ過ぎる。音色にもっと気を使いながら低音絃奏者が編曲すればもっと良くなりそうだ。

「アイヌの叙事詩による対話体牧歌」
不思議と以前聞いた時の濃密な時間経験とはならなかった。ライトな、繰り返しだけの単純な形式感。果てしなさはもう感じない。それでも美しい。

「ヴァイオリン・ソナタ」
第一楽章の目まぐるしく交錯する音色は他に無い特徴だ。ヴァイオリン技法を盛り込んで入るが聴衆に理解できるだろうか?また音楽として受け入れられるように聞こえ届くだろうか。この楽章を聞く間に音色のみならずそうした思いも目まぐるしく交錯した。
それにしても若い、こんなパッセージを主題とするなんて! とても大家が取り上げるような類の物ではない。この作品が冒険であるのは初演の時に気付いていたものの失敗か?と危ぶんでいた。
確かあれは「交響的エグログ」初演から数日後のこと、ご自宅にお邪魔した時ピアノの上に見たラヴェルとヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタが後に結晶したのか、くらいに思っていた。そして形式的に大きく影響したのはヤナーチェクだったようだと一人合点した。
今日の演奏で気付いたのは形式にも、随所の音型にも影響を表していたのはむしろラヴェルだった。
しかしバルトークが仕込まれていたのを私は反省せねばならない。インタビュー記事に民俗主義音楽をバルトークと関連づけて書いてしまったからだ。三楽章で三人を盛り込むとは。
音域からすると、もっと低音楽器が向いてるのかもしれないけれど、ヴァイオリンで(フルート、ヴィオラなどでも)歌曲を演奏すると良いだろう。

松村禎三「軽太子のうたえる2つの歌 〜古事記より〜」
のびやかな素晴らしいソプラノ。煌びやかな、華やかなピアノ。
声楽をシンセサイザーに置き換えれば素晴らしいアンビエント・ミュージック!

池野成「Evocation 〜Solo Marimba, 6 Tromboni, 6 Percussioniのための〜」
シアター・ピース風の始まり。パーカッションが次第にいかにもな日本的なサイケなノリになって行く。トロンボーンは6本は要らないかもしれない。パーカッションとホーンセクションの掛け合いの「妙」というほどのことも起こらないけれど、リズム・パルスが聞く者を引き付ける。
あぁ70年代サイケ!

生音を聞くと頭に血が昇る。

東京音大を後にして目白通りの角にある古本屋へ。今時めずらしい正統派だ。店が清潔だし、マンガもエロ本もない。
線が引かれてるけど、岩波新書 D.マッコンキィ『独占資本の内幕』、遠山茂樹・今井清一・藤原彰『昭和史』、クリストファー・ヒル『レーニンとロシヤ革命』の三冊を200円で購入。
当時の新書は研究書のような雰囲気があったのを懐かしく思い出す。今は週刊誌くらいな感触だろうか。

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Comments

伊福部のヴァイオリン・ソナタは、やはり管弦楽曲のダウンサイズじゃないかと思う。仕組まれた即興を演じる第一楽章の呼吸がイマイチ宜しくない。それに二楽章が器楽的に危うげに貧弱なのがとても気掛かりだ。第三楽章の無窮動とカンティナーレは練り直すべきかも知れない。伊福部のトレードマークともいうべき潮騒が聞こえない。

それにしても日本の作品を聞くと混乱する。
いくらそんなことをしても西洋の音楽みたいにはならない無為を感じることさえある。
恐らく聞いてる耳と脳が異なるのだろう。
激しく不安を掻き立てられるが暫らくすると慣れてしまう。が、やっぱり不足を感じる。
構造的脆弱さを感じる。音が多い割に手が遅く展開がもどかしい。作品の身体能力?

Posted by: katute | 2008.01.29 at 01:29 PM

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