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2008.08.17

読書の狭間に

マリオ・バルガス=リョサ『若い小説家に宛てた手紙』の語り手(人称)の空間、時間(時制)、現実/幻想、などは、勉強不足だろう新めて認識を得た。特には語り手の主観的/客観的はラヴェルとディーリアスを考えさせられる(そこにヴァスクスの視点を加えて考えてみるとより複雑だ)。

平行して読んでいるアレックス・ウィッパーファース『ブランド・ハイジャック』をブレイク・ウィルスの広告マーケティング分野の続編として小説的な現実とフィクションの合間から見ると面白さが倍加する。欧米での実践と日本でのプロモーションの差異が笑えるほどにズレてる。そこに企業が認識してるだろう現実が見えるからだ。
(この本とは関係なく、悪い例としてあげると「牛乳に相談だ」がある。米国のある州でのキャンペーンを無理矢理移植したように見えて哀しい。特にメッセージも見受けられないのに予算は消費してる、その時間の無駄さが見てる私を呆れさせるのだが)。

最近の自分の傾向として古本屋チェーンで新刊を知るというのがある。
シュローサーの米国地下経済モノが翻訳され、ミラノ聖骸布のコンビがエジプトと火星文明を論じてたり、広瀬隆が持丸長者シリーズを始めてたりする。
(気になってる新刊はチェーホフ超短篇「フモレフカ」シリーズとスタニフラフスキー自伝だ。)
新刊書を買わなくなった理由を考えてみると、まず価格であるとして、それを誤魔化そうとする装丁があるとしても、それ以上に、新刊をチェックするための書店がないことに尽きる。

昨日仏ナント仕込みの音楽祭を紹介するテレビ番組で、素人にもお薦めみたいな項目が並べられてたのを見て驚いた。部外者がそれを手にして読むだろうか。熱心さが無ければ興味が湧かない趣味の世界を紹介するのに、それはない。そのチラシが、なんか合宿の勧誘みたいに見えちゃった。

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Comments

『ブランド・ハイジャック』
楽しく読んでいると、どうやら日本人の心性を研究すれば良いような気がしてくる。
セレンディピタスはマイクロコミュニケーションが決め手ではないかと思えてくる。
そしてネタバレになるけどカルト新興宗教とハイジャック・ブランドの対比が山場。
実践に入ると突如として日本でブランド・ハイジャックは起こらない気がしてくる。
これまたネタバレだけど、日本は戦後に文化を殺してきたから本来的には不可能だ。
では日本でのブランド信仰とは何かを考えなければこの本を読んだことにならない。
バルガス=リョサ『若い小説家に宛てた手紙』第八章転移と質的飛躍、併読のこと。
「隠されたデータ」を忘れてはならない。
そして『ブランド・ハイジャック』第16章でのアーリー層と主流派市場の見極め。
一見ここで、小説とマーケティングの違い、分岐点かと思うが、そうではないのだ。
小説はそれさえも貪欲に飲み込んでいく。

Posted by: katute | 2008.08.21 at 05:56 PM

そうしてマーケターは社会倫理を取り上げ広告の影響力を考慮し自己規制を薦めるのが既に矛盾した議論で説得力に欠けるが、これを受容する力がなければならないだろう、文学的意味に限定されない現代的な奴隷として生きる覚悟でない限り。なので業界人もそうでない人にも広告の魔力を理解するためのリテラシーとしても読める。

Posted by: katute | 2008.08.22 at 10:16 AM

ブランド・ハイジャックはワイアード・ニュース(読者として)と同じ世界観を共有するもので、マーケティングの新手法ではないと思うのだが、訳者解説を読んでビックリした。一般的な書評はこの解説に基づいてるようだ。
脚注が英文のままなのはなぜだろう?編集さん手抜きですね、訳本があるものはせめて邦訳タイトルくらい出しましょうよ。

Posted by: katute | 2008.08.23 at 03:17 PM

ヒートアップするこの二冊の饗宴を止めたくなかったので、工藤庸子『フランス恋愛小説論』と村井敬『都市の輪廻』を読み始めたけれど前者が面白すぎて読了。
前者が取り上げた小説が恋愛小説と定義して良いのか判らないが、最近流行りの地政学とメディア論を説いてるあたり興味を引かれた。
後者はさらに人類の「都市の記憶」でもある。

Posted by: katute | 2008.08.28 at 10:32 AM

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