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2008.12.08

読了『容疑者ケインズ』


小島 寛之『容疑者ケインズ (ピンポイント選書)』

小島寛之『容疑者ケインズ』の順番が来たので、これを読む。
これは、小島さんが傾倒して、とうとう、経済学者になってしまった、そのケインズの業績を一般理論、不況理論から、確率論、選好理論まで分析した本(私が分類を間違えたかも)。
ブログ掲載記事の増補改訂版だが、よくまとまっていて、また、膨らませた部分が大変面白い。この人の本や小野さんの本は、色々読んできたので、よく判る(判り過ぎて、影響受け過ぎかとも思う)。また、個人的には、『増補改訂版』という本が一番速く読めるように思う。

『ケインズは死んだ』と言われる、その一般理論については、杜撰な展開で肝心な事が後世に伝わっていないと言う。
乗数効果は存在しない、但し、税金を使って、納税出来ない人々(失業者)に所得移転すると、その場合に限っては、全体の所得が増えると言う。この部分は、注釈でしか書かれていないため、今のケインズ理論からは省かれてしまっているそうな。

小野氏の不況理論。これで決まりかな。

ナイト流不確実理論
生前、ライバルだったのか。理論としては似た者同士のだったためか、かなり対立していたらしい。確率がハッキリ判る壷とハッキリしない壷との比較で、人の行動をどう理解するかのエルスバーグの実験。株価の上昇が遅くて下降は急激な理由とか。

エコノフィジックスからのバブル理論へのアプローチ、土地価格分布のジニ係数(不平等度)による計測で、過去の1980年代の土地バブルを判定出来た。

チャート分析をするノイジートレーダーの存在。グロスマンとスティグリッツの証明、均衡を探す、全員が調査を完璧に行うのと、全員が全く調査無しででたらめに行うのとの、どこか間に、均衡がある筈。つまり、ノイジートレーダーの存在も証明された。

グルとペッセンドルファーによる誘惑(先行)のメカニズムの解明。選好のセットで比較していると。+だけでなく、-になる効用関数の組み合わせで考察する。余計な考察をするコストを排除するために、コミットメントの効能を指摘。

これの応用に、ジョイスの小説で、何故、「イーヴリン」が駆け落ちをドタキャンしたかを考察した論文がある。

後書の、ケインズを優れたアイデアマン、実務家、と捉えて、原石を磨く事を提唱。これがこの人なりのケインズ理論への決着との事。
さて、後書き中の、『夢を語る人がいなければ、何も生まれないのだから』は、トインビー・コンベクターそのものではないか(ここは私にしか判らない個人的メモ)。
薄くて、手軽に読めるけれど、しっかりと身になる栄養が詰まっている。

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Tracked on 2008.12.20 at 10:19 PM

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