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2009.02.17

CD試聴紀:チェコ編(?)

先日聞いたオーケストラ伴奏のシュールホフが面白かったので歌曲が欲しいなぁと思ってたら自宅で発見。一体なにをどれだけ持ってるんだか自分で恐しくなる。
ERVIN SCHULHOFF : Songs
OLEGA CERNA(ms)
シューベルトの系譜のドイツ・リート。
どれも小品だけれど幸せな響きがする。
それは嘘でシェーンベルク以降の歌曲。
例えばラヴェルのようなスタイルの歌。

Zuzana Ruzickova
Kalabis / Martinu / Rychlik / Mieg / Bartok
チェコ・フィルのソロ奏者で演劇演奏アカデミーの教授による、現代の楽器によるアルバムで、音響設計を間違えたのではないかと思えるなんとも騒がしいチェンバロ作品集である。
この楽器に対して音を面でぶつけるとは、まったく困ったもので、聞いてる間中ガチャンガチャンジャンジャンジャンジャンの連続で心落ち着かなければ聞くに集中も出来ない有様。これはなにかの拷問か、と思ってると意外や意外。バルトークのブルガリアン・ダンスがピアノ原曲よりもポリフォニーが冴えて聞こえる。音色はバグパイプを模してたことも判る。
それぞれ個別に聞けば魅力が判るのだろうけど、とりあえず。

TWRWZIN / THERESIENSTADT
ANNE SOFIE VON OTTER
前半の知らない人たちの歌はまるでドイツのキャバレー・ソング。下手すればこの時代のハリウッドの音かも知れない。ハンス・アイスラーやクルト・ワイルのような。
後半の退廃芸術の烙印を押された作曲家たちの歌は、まったくの新ウィーン楽派ばりの芸術作品だ。
そもそも、このアルバムはフォン・オッターが現在も続く殺し合いの悲惨さを忘れないために持ちかけたものだったらしい。
どの作品の演奏も情愛のこもった優しさ、慈しみを感じさせる。スタジオの関係でこうなのかも知れないが、ただフォン・オッターの声の伸びが若干衰えてきてるように聞こえるような気がする。
不謹慎だけど、そして音楽的には(クルト・ワイルとは異なるハンス・アイスラーのような)キャバレー・ソングが愉しい前半だけで良かった。

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Comments

2月4日

指揮者が書いたサブテキストのある作品。

HANS ZENDER
SCHUMANN-PHANTASIE
BARDO FOR CELLO AND ORCHESTRA
シューマン・ファンタジーはシューベルトに次ぐ、柳の下の二匹目のどぜう?と揶喩されたもの。自由な改編を加えてのオーケストレーションが、無駄の効用(?)か、ポピュラー音楽のメドレー編曲を思わせて楽しい。ロマン派の濃厚な響きはなつかしく親しみのこもったものに聞こえる。
また、もう一曲の、アーティキュレーションとブレスが等価な、チェロの息遣いが実に身体性を獲得していて見事な振る舞いは、文字文化よりも口承伝達の習いが現われているのか。
この二つの曲を並べると、いわゆる田舎の祖母の家でくつろいでいる姿が目に浮かぶ。

SKROWACZEWSKI
CONCERTO NICOLO
CONCERTO FRO ORCHESTRA
明快さを避けるためのあらゆる工夫が講じられた音楽。
どこかで聞いた音、型。楽器の組み合わせ。
まるで他人の空似のようなそれらが作品にアノニマスの署名を施す。
パガニーニの主題はボソボソとして、左手のピアノが占める中低音域での独り言のつぶやきのように、ソロを引き立てるような華やかな要素は見せずにそそくさと走り去るばかり。
当惑するうちに、またしても多様に引用を施した、もうひとつの音楽が始まる。
前半では、このオーケストラのための協奏曲は、ルトスワフスキーの流儀らしい打楽器の処理にヒントを見付けようとしても駄目で、ストラヴィンスキーかも、と思う間に消える。
後半で聞こえるブルックナーの和声。弦楽器のオルガンポイントに乗って管楽器が歌うけれど、そういう組み合わせがブルックナーの好みだったね、というにしか過ぎない。
それよりもむしろクライマックスへのテクスチャーの編み込みの脆弱さを痛烈に感じてしまう。
そうなのかも知れない。不在の音楽。
たしかに二曲ともに冒頭の打楽器の一撃が開始を告げるのが、20世紀後半の作品であると教えてはくれるが、とはいえ金属音はそれくらいで目立った特殊奏法はなくごく普通のオーケストラの音楽だ。
ただ、積極的な必然性が感じられない作品を味わうという趣旨なのかと考えてみる。それが20世紀後半の人類を代表する感受性なのかも知れない、と。音楽以外の文脈を取り上げてしまう。

Posted by: katute | 2009.02.26 at 01:19 PM

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