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2009.02.07

読了『貧困のない世界を創る』


ムハマド・ユヌス『貧困のない世界を創る』


これは、物凄く強力な本だ。

目次
プロローグ 始まりは握手から
第1部 ソーシャル・ビジネスの約束
新しい業種
ソーシャル・ビジネス―それはどのようなものなのか
第2部 グラミンの実験
マイクロクレジット革命
マイクロクレジットからソーシャル・ビジネスへ
貧困との闘い―バングラデシュ、そしてさらに遠くへ
神は細部に宿る
カップ一杯のヨーグルトが世界を救う
第3部 貧困のない世界
広がりゆく市場
情報技術、グローバル化、そして変容した世界
繁栄の危険
貧困は博物館に
エピローグ 貧困は平和への脅威である

熱い語り、時に突拍子も無い空想とも取られる将来像を描いて、何故出来ないと決めつけるのかと詰め寄る。
世界的に不均衡な所得の配分に対して、責任を持って対処すべきで、政府が、国際機関が、世界銀行が、槍玉に挙がる。
グラミンとは仕事の評価基準そのものが違う。
グラミンは、借手自身によって所有されているオーナーシップ構造によるソーシャルビジネス。その株式の94%はバングラディシュの貧しい女性達が所有している!
『グラミン=村の』だ。救済の対象と見なされてきた当事者達が主役/主体なのだ。

始まりは、バングラディシュの飢饉。
何が村民達を貧しいままにしているのか、経済学教授だったユヌス氏は実地検証に行って、その原因が、金貸しによって奴隷的な条件を飲まされていた事を突き止める。
その総額は村全体で27ドル!自分のポケットマネーを貸す事で、解消させた。
次の段階で、銀行に融資を依頼したものの、村民達は信用されなかったので、ユヌス氏が保証人になった。返済率が非常に高い事が判ったので、結果、自分たちで銀行を始める事になってしまった。この過程で、従来の貧困対策が、『雇用の創出』を目指していたが、それは間違っている(傲慢と言って良いと思う)事を発見した。貧者には施しや仕事をあてがうのではなく、自身で働けるよう、資金を貸す、投資をすべきだったのだ。
ソーシャルビジネス。説明は本書を。肝は、投資家(の行動)にある。
アメリカでさえ、健康保険未加入者を対象にソーシャルビジネスが可能ではないか。
ダノンとグラミンの合弁会社。
『神は細部に宿る』アメリカ人建築家、ラドウッド・ミース・ファン・デル・ローエ。
通常ビジネスと、ソーシャルビジネスのハイブリッドが、ダメな理由は現実的なものであって、理念的なものじゃないんだ。
貧困のない世界の青写真。通常ビジネスと共存するソーシャルビジネス。独自の評価基準がすべての基礎になる。
G1G1とかClassMatePCは評価しているが、もっと必要との評価。
グラミンフォンの所有権についてのノーテルとの確執(譲渡する契約なのに、ノーテルが履行しない)。

『この世界から貧困を根絶する事は可能である。なぜなら貧困は自然な人間の姿ではないからだ。それは人の手によって彼らに課せられたものなのである。出来るだけ早く貧困を終焉に導き、貧困を永遠に博物館に入れるために、この身を捧げようではないか。』

最終章のエピローグはノーベル平和賞受賞の講演だが、本自体の要約になっている。
訳文が何となくおかしいのはこの本だったのだろうか。
何か、自分にとっては、特に肝心な事を書き漏らしている!思い出せない!

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Comments

人の行いが問題なのであって、システムが解決するのではないという意見が多く現れてる。
以下はその例。

マイクロクレジット エンパワーメントか、債務の女性化か?
http://www1m.mesh.ne.jp/~apec-ngo/lim/digest/lim-25-micro-credit.htm

マイクロ取り立て屋:マイクロファイナンスも盲信すべからず。
http://cruel.org/economist/microfinance.html

Posted by: katute | 2009.02.07 10:32 AM

だから、グラミンなんだ。会社?システムとしての仕組みではないから、上の失敗例は、当てはまらない。グラミンが失敗するときは、グラミンではなくなったとき、になる。

Posted by: 本人 | 2009.02.12 07:17 PM

はじめまして。今読んでる途中の者です。。
大いに共感^^してます。
昨年地元の大学でマイクロ・ファイナンスの日本での可能性、という講演がありましたが、本当にこの日本でも広まりますか?
日本の雇用促進や不況対策にもなりますか?
ソーシャル・ビジネスは日本で根付きますか?
決め手は専門的知識を持ったきめ細かなマンツーマンのスタッフの存在と思われますが、その育成は?
本当にアメリカの無医療保険者もカバーできるのでしょうか?

と疑問は尽きませんが、がんばって読みますです。ではまた。

Posted by: ひろみ | 2009.02.14 06:29 PM

DemocracyNow! 2008.2.12-3  30分の動画

「貧者の銀行家」ムハマド・ユヌス ソーシャルビジネスと資本主義の未来を語る
http://democracynow.jp/submov/20080212-3

Posted by: katute | 2009.03.10 12:51 PM

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Tracked on 2009.02.07 07:49 PM

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