「幻想の超大国」
『「幻想の超大国」アメリカの世紀の終わりに』
ハルバースタムが、なぜ日本の雑誌に連載を持ってたのか私は知らない。
今から思えば、それでも十分にバブリーなことだったと思う。
まだ読み始めなので、色々と判らないことがあるので、メモを取りながら進めたい。
なんだか緩い自叙伝を書いてる、ようなエッセイなのか、それでも米国から見た日本の姿と、米国人が見た米国の現代史が写し取られてる。
国内事情の変革の兆しをパールハーバーに求めるのは面白い。
これは北朝鮮での「プエブロ号事件」に匹敵する。北ではこれを切っ掛けに現在の先軍政治を始める。当時の冷戦構造において北朝鮮は共産主義の「東方哨所」と呼ばれ同盟国の支援を手に入れ十二分に潤った。
それは、まぁいい。
本書は、古くなった記憶に埋もれてしまった事実の連続で面白い。
最近、田中宇がアジアの時代の到来を書いていたのを思うと、ハルバースタムが執筆した91〜93年は、日米経済摩擦の時代だった。その時すでに国内が疲弊し、これまでの政治システムは過去の物となりつつあった。
現在を重ねるなら、当時の日本のポジションに中国がある。
そして、この時差で生まれたのはなにか?
《「ブルーカラー中産階級を主体とする工業化社会」は、けっして恒久的なものではない。》
色々あるけど、もうひとつ、ここを引用しよう。
《1992年8月、大統領候補氏名の受諾演説のなかで、ブッシュはクリントンのことを「エルヴィス(プレスリー)」と何度も蔑んだ。フランク・シナトラを聴いて育った彼の世代にとって、プレスリーは蔑称になるかもしれないが、有権者の大半はシナトラ後のロック世代だ。
さらに、環境問題に強いアル・ゴア副大統領候補のことを「オゾンマン」と呼んだが、これは、環境問題に真剣に取り組む若い世代を理解していないことの表れだった。》
ハルバースタムは広告とマスコミ、PRのそれぞれの役割を厳密に理解してなかった節がある。残念ながらそれが歴史感覚を薄めている気がする。
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