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2009.03.01

読了『分ける・詰め込む・塗り分ける―読んで身につく数学的思考法』


イアン スチュアート『分ける・詰め込む・塗り分ける―読んで身につく数学的思考法』

易しく読めて、面白い本なので、お薦め(舞台になっている数学はハイレベルだったりするけれど)。
目次にあるように、様々な現象や事柄を数学的に突き詰めると、どうなるか、出来るかを論じているが、その語り口は、本当に、思考を楽しんでいるのがありありと現れていて、こっちも楽しい。著者のように変幻自在に数学を呼び出せないのが悔しいが。
ちなみに、コマ大数学科で、ビートたけしが驚異の正解を出した靴ひも問題のタネ本だそうだ(詳しくはガスコン研究所の■コマ大数学科121講:靴ひも問題を参照の事)。

目次
きみのケーキは大きいぞ
五分五分の確率の正体
靴紐の幾何学
パラドックスは消えた
缶詰を鮨詰めにする
チェスの試合は果てなくつづく
正方形を見落とすな!
身分をあかさないで身分を証明する
月世界の帝国
帝国と電子回路
シャッフルの堂々巡り
合わさった泡の幾何学
トロッコの線路の最適な配置
恨みっこなしの分割
ホタルがぴかり、同時にぴかり
電話機のコードはなぜからまるのか
ここにもそこにもシェルピンスキのガスケット
ローマ帝国防衛作戦
三角形のつかみ取りゲーム
復活祭の準結晶とは?

1章の「移動式ナイフ」は、花市場の逆競り方式と同じ要領なんじゃないのかな。でも、一般化して、m人分割にするのは数学的。
2章の確率分布は、意外だが、五分五分のサイコロの目の出方が、五分五分ではないこと、ランダムウォークは厳しい。
8章の「ゼロ知識証明」の説明は、判り易い。
やはり、この本の目玉は、9章、10章のmパイアのグラフ理論だろうな。地図からグラフ、グラフからmパイアグラフへの変換(抽出)が、面白い。抽象的なグラフ理論の厚み2の時の応用が、プリント基板のショート検査を4桁減らせる検査方法を生み出す。
11章、シャッフルに、インとアウトの別があるのは、知ってたが、アウトの場合、実質的には上下2枚は動かないからインと同じとは気付かなかった(何も考えてなかった)。カードの枚数mと、インシャッフルの回数nに対して、2^n、2^n mod (m+1)を計算していくと、この剰余が1になった時のnが元に戻る回数。これが出る事は、フェルマの小定理が保証してくれる。これで戻る事の証明は省略されてるけれど。
14章の分割は、1章の分割の先、誰もが自分の基準で満足出来る部分を受け取る方法。ゲーム理論ではないけれど、各人の基準が違えば違う程、分割はうまく行く(逆に言えば、同じ基準だと分割は困難になる)ことの説明。
17章は、シェルピンスキへの讃歌なのかな。大学時代に、エピソード的に取り上げられたけれど、実際は、大数学者なのだ。1906年から1968年までに発表された論文は720本!解説論文106本、著書50冊。スゴい。その墓碑銘は『無限の探求者』。それ以前に、1890年にリュカが二項係数を二進数で表して、パスカルの三角形に奇数偶数の分布を示したが、これが、ガスケットそのものだったのも驚き。リュカはハノイの塔の作者。

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Tracked on 2009.03.22 07:02 AM

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