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2009.06.25

『パール・バック伝』

パール・バックはアジテーターである。

これじゃ身も蓋もない。
世の不平等に異義を唱えた記録として。個人を描いた評伝としては、そういうことだ。

ここには20世紀の東洋と西洋の歴史が概観され、現在の米国と中国をめぐる対立と緊張が全て捉えられてる。
気を付けて読みたいのだが、そうした対立を解こうとしたパール・バック自身の活動が対立を助長する結果として現在にある。
そういう意味では、この本は映画「ターミネーター」式の歴史パラドクスを描き出していると言えるだろう。
記憶に薄れてしまった様々な歴史場面を追いながら世界がもつれて行く様を見せ付けられるのだ。

ピーター・コンの原著は1997年で、日本語訳が2001年。翻訳者らは医療関係者で、作家や映画関係者の人名に日本での通常表記を確認できてない節があり、作品名にも誤訳がある。そこは編集者の仕事領域だけど。
思いつくままに上げるなら、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー、エズラ・パウンド、グレアム・グリーン、アトウッド『侍女の物語』。


ピーター コン『パール・バック伝〈上巻〉―この大地から差別をなくすために』

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Comments

アトウッド『侍女の物語』は未来が舞台なのじゃない。
例えば、「胡乱な来客」を未来物語と思うか?

Posted by: katute | 2009.07.06 at 12:24 PM

実はこの本を読んで気がついたんだが、米国の対中政策はパール・バックに負っている所が大きい。
『生きる葦』も対北朝鮮政策への影響を見過ごせない。

Posted by: katute | 2009.07.28 at 01:04 PM

『生きる葦』の後日談は現在制作中って所かな。

【コラム】3年前に目にした「北朝鮮の屈辱」(上)
http://www.chosunonline.com/news/20090723000068

国連事務総長、北朝鮮訪問の意思を表明
http://jp.reuters.com/article/JPNKorea/idJPJAPAN-10288320090729

Posted by: katute | 2009.07.30 at 02:23 PM

パール・バックについて少しだけメモを加えよう。
本人はバック夫人と呼ばれるのを好まなかった。理由は本書を読んでくれ。
で、セレブの寄付や米軍基地産テテナシゴとの養子縁組や支援団体のボランティア活動など、そんなことを呼び覚まして定着させたのが彼女だった。宣教師=アジテーターの血だろうか。
驚くほど鮮明な対比は、デュラスを併読することだ。

Posted by: katute | 2009.08.03 at 01:49 PM

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