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2009.07.15

読了:ジョン テイラー『マネー・イズ・グッド!―’80年代マネー・カルチャーのヒーローたち』

ジョン テイラー『マネー・イズ・グッド!―’80年代マネー・カルチャーのヒーローたち』
弟に借りて(かなり前だ)、6/30、ようやく読み終えた。本自体は、スラスラ読めるのだが、途中で、他の本を借りたりして、遅くなってしまった。
(弟のメモは、こちら
1993年の翻訳だが、今、見ると、アマゾンにレビューが一つも無い。良い本なのに、何故だ?古過ぎるから?本当に?
それでは、目次を見ていただこう。

目次
マネー・カルチャー
チャーリー・アトキンズの短い夏―投資銀行神話の崩壊
さよなら、ゴッホ症候群―1980年代の美術界
成金たちのパーティ宮殿―メトロポリタン美術館の新商売
「負け犬は退屈だ」―ハリウッドの管理マニアたち
ソロモンの栄華―ジョン・グッドフレンドとスーザンの華麗な生活
マネー・カルチャーは死なない

おおよそ、20年前の話が中心なので、普通は古く感じるものかも知れないが、自分は、あまりの変化(進歩)の無さに驚いた口だ。
そう言えば、そう言う話だったなとか思いながら読んだが、そのどれもが、(ジャンクボンドをCDSに、とか詳細を置き換えると)つい最近の話で通じると思う。
後書きに、日本のバブル崩壊の後に、何が残ったのか、アメリカ(金ぴか時代の文化)に飲み込まれたのか、という言葉がある通り。

初めのうちは、矢鱈とメモを取っていたが、後半は弛れてしまった。
ヴェブレンの「金ぴか時代」を基準に据えて、過ぎたばかりの金ぴか時代を眺めるという構図になっている。
第一章のチャーリーは、27歳で成金になった訳だが、その前の世代が金儲け自体が自然であるような環境で育ったのに対し、不景気による挫折を経験済みだった点を指摘する。1977年のジョブス達の成功も引き合いに出すが、やったことは、税制度の悪用に過ぎないため、即、破綻。
第二章の主人公は、コスタビ。客の注文を聞く芸術家。村上氏は、別に新機軸って訳じゃないのだ。芸術を取り巻く環境の変化から、芸術家自身の意識の変化を描く。ウォーホールがヒーローか。シュナーベル(画商はメアリ・ブーン)が最初の商業前衛芸術家、でも、知らないぞ。コスタビは、中世のスタジオシステムを復活させただけとも言う。確かに。成功の鍵は、99%の社会的ネットワークと、1%の才能だそうだ。
第四章は、副題の「メトロポリタン美術館の新商売」の通り、金があっても、物理的限界で見せびらかしが出来ない階層のために、評議委員会ということで、パーティ会場に貸し出すという訳。その馬鹿騒ぎの紹介。美術館の絵画収集にも自分の趣味で口を出す訳。
第五章は、映画製作者コンビ。彼らの章は、それなりにワクワクする。フラッシュダンス、その他の「ハイコンセプト映画」(上滑りな映画の意味らしい)。こういう物言いを知ってて、あの書名を付けたのかな?
第六章は、ソロモンブラザースのグッドフレンドの話。強欲だな。この辺り、古女房を追い出して芸者を引っ張り込んだ明治の元勲達を思わせる。若い頃の愛読書が、アイン・ランド(エインランドになってるが)とは。
金融の仕組みは、ほとんど同じなんじゃないかな。
結局、アメリカは変質して、平等の理想から外れて、一度、金ぴか時代に入ってからは、二度と出ないのではないかと言う懸念で締めくくられる。
訳者後書きは、日本のバブルがアメリカのマネーカルチャーに飲み込まれた結果、という考察。

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