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2009.07.29

CD試聴記

弦楽四重奏+α
(再修正、長くなるので、内容は続きに廻した)

SIBELIUS: STRING QUARTET
DELIUS: STRING QUARTET・CELLO SONATA
DECCA 442 9486

OLD SITY NEW IMAGE
McCABE & ELLIS

colon nancarrow
quartets and studies
arditti quartet

bruno maderna
for strings
arditti string quartet

弦楽四重奏+α

SIBELIUS: STRING QUARTET
DELIUS: STRING QUARTET・CELLO SONATA
DECCA 442 9486
シベリウスの書法中でも、特に前半がライトで、危うさが「いかにも」な感じ。
「親愛なる声」もしくは「内なる声」とは、シベリウスという人を想うなら、他と同質のメロディにある種の精神や記憶を込めてると考えるだろう。
なので演奏では、もっと弦が走って、全体に強弱のメリハリをつけてほしい。それでこそ後半へ向かってクレッシェンドして行く作品となる。
シベリウスは弦楽四重奏曲に番号を振ってない。中でもよく演奏されるこの曲は、友人等と演奏する愉しみのためのものだろう。自身が音と向き合うための。
ディーリアスの弦楽四重奏曲は初めて聞く。
なんだか団子になっている、30年近い昔は録音も演奏もこんなものか。技術面でシベリウス同様な失態を晒してると思う。この演奏団体、ディーリアスとラヴェルの「違い」を確認してるか?
「カッコー」やヴァイオリン協奏曲の素材など共通し、調性感覚にブルース・コードを感じさせるものがあり、フォームレスな単一楽章がトレードマークなのに、それでも弦楽四重奏に収めようと取り組んでるのが微笑ましく感じられる。
この演奏団体の演奏で、最もガッカリな、がさつなピチカートに腹が立つ。
ここまでの気分を引きずってしまうのは惜しい。チェロ・ソナタは、今ならばもっと自由なファンタジーが許されるだろう。作曲家の設定した音域が自分の好みと相容れないため、それを埋め合わせるような自在な揺らぎを感じたい。

OLD SITY NEW IMAGE
McCABE & ELLIS
ジョン・マッケイブの弦楽四重奏2番、デヴィッド・エリスの弦楽四重奏1番、と二人のそれぞれの弦楽三重奏。
アラン・ロースソンの60歳誕生日のために書かれたマッケイブの弦楽三重奏は、原始的な身振りによる音楽だ。近代が野蛮を呼び覚ました、または、それへと進化した。
行動予測/計略予測。厳密に、現実主義とマキャベリズムの差異を知ってたら、教えてほしい。
エリスの弦楽三重奏は二十歳の頃の作品だ、そうと知らなければ現代の新作と言っても信じるだろう。書法に隙がない。詰め込まれたドラマに交響曲さえ予感させる。
こんな完成度を二十歳で有してたのにどうしてその名を知らないんだろう?
弦楽四重奏を聞かせてもらえて良かった。より豊かな響きと叙情性を作り出してはいるが、スタイルにおいてそれ以上ではない。

colon nancarrow
quartets and studies
arditti quartet
もとはジャズマンだったナンカロウが自動ピアノにしか作曲しなくなった理由は取り沙汰されるが、トランペットを吹かなくなった理由は知らない。
発話練習で、演奏されるために書いた訳じゃないと思ってたが、演奏効果が考慮されてるから、生身の演奏家が必要、だが。この複雑なゲームをするには人間が演奏するための解析が必要だし、鮮やかな音色やスピードなど演奏テクニックも確かに、マシンにはかなわないかも知れない。
(情報の伝達と再現性。ファクシミリに興味があったとは聞かないが。)
速度とそれに合わせた拍子を、整数比、√比で書き分けた数学ゲーム、複雑なだけのカノンと侮ると、太古を想わす叙情性に打ちのめされる。
曲の解説を読むほどに以前自分がやりたかったことが書かれてるのを知る。それも相当上手な書き方で。
しかしナンカロウのこうした作曲態度は、そのむかし山谷の木賃宿で数学の論文を書いてた世捨て人の伝説を想わせる。
(魅惑的な)純粋に結晶のような理想。。。
以前は難解とかヒステリック、不気味と呼ばれたスタディ主題は結構ユーモラスで、もしかしたら管楽器向きかも知れない。
しばしば聞こえる演奏中の息継ぎの呻き声は、演奏の難しさのためか。アルディッティは真面目腐って面白味がないのでペトルーシカの謝肉祭など演ってみれば良い。
ディスコグラフィに金管楽器編曲を見付けたので、いつか聞いてみたい。

bruno maderna
for strings
arditti string quartet
作曲家の幼年時代の写真を見ると驚いてしまう。生まれも育ちも大切だなぁ。
弦楽四重奏が3曲、デュオが2曲、ソロが3曲。
マデルナ存命中はいつもラジオで新作が掛かってた。そうして現代音楽のテイストは、こうなってるんだなぁと感心してたものだ。が、亡くなって、初めて作品と自覚的に向き合ってみて、作曲家についても作品についても何も知らなかったことに気付いた。
どうやって、こうした作品を消費して行けば良いのか考えてしまう。
ましてや大きな仕掛けが無いソロでも、こんな魅力的な音楽を書いてるのだから。
もっとも独自スタイルでの減額四重奏曲は完成しなかったけれど、作曲家としてもっと早くにきちんと知っておくべきだったなぁ。

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Comments

抜粋すると、煩雑だし通常表示は最初の一行だけでの方が判り易くない?

Posted by: katute | 2009.07.29 at 11:38 AM

そうしたいのだが、初めの1行だけだと何(と何)について書いてあるのか、判らなくなると思ったのだよ。

Posted by: 本人 | 2009.07.29 at 01:11 PM

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