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2009.07.15

CD試聴記:夏

ミヨー自作自演の2枚組みを聞くと、その作品に色濃く反映されている異国の風物とその風光明媚な情景に、ポール・クローデルを想い、当時の帝国主義植民地やそれへのツーリズムを考えさせられる。
南米へ行った鮮烈な印象、それが地元音楽の採取(場合によっては勝手引用)を促し、自身の演奏から察するに芸術よりもイミテーション・コレクターであったと思われる。
つまりは失われた時代の記憶を共有した記録。人文主義なそれは悉くアンドレ・マルローのようなインドシナへの政治実務的と思える想像力ではない。
そうして、どれも味わい深くストラヴィンスキーの側に立つコンサート・レパートリーには小粒な協奏曲。と、明らかにプーランクとは異なるピアノ書法、ラウタヴァーラにコダーイを感じたように、テンションで引っ張って行こうとする所にメシアンを想わずにはいられない。
MILHAUD:6 LITTLE SYMPHONIES, OTHERS
VoxBox CDX 5109

不意に泣きだしそうなしわ枯れた声を絞りだして告げるタイトルコール。
ホンキートンクなベースライン。
南国の眩しい空の下で目を細めながらくちずさむメロディ。
字余りなリフレーンのスキャット。
イメージ多彩なその声に釘付けだ。
Hanne Hukkelberg
Rykestrasse 68
繊細なまでの音遣い。
ため息のような囁き。
自転車で町中から集めたコンクレートな音はデビュー盤では未消化で、三枚目のアルバムはヴォーカルに昇華され、結局は不思議な調和を作り上げたこのアルバムは、驚くほど眩しい夏を想わせて、飽きさせない。

今読んでるデュラス『太平洋の防波堤』にはルーセルではなく、ミヨーが似合う。

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Comments

Hanne Hukkelbergはちょっと不思議な調性感覚を持ってる。
久しぶりにドミナントてコトバが浮かんだ。

Lydverket spanderer: Hanne Hukkelberg
http://www.nrk.no/lydverket/lydverket-spanderer-hanne-hukkelberg/

ピアノの弾き語り。
上のアルバムではバッハさえも飲み込んでるから、持ち前の感覚だろう。その仕組みと言うか、が判る。
音の想像力とでも言うか、無調ではなく細やかに転調してみせる。

Hanne Hukkelberg 70 grader nord
http://www.nrk.no/lydverket/hanne-hukkelberg-70-grader-nord/

生活の周辺がうかがえて、このインタビューは好きだ。音楽が生まれた場所がわかる。


http://www.myspace.com/hannehukkelberg

これの再生回数が一桁多い曲が上のアルバムからだ。
歌詞は下から。

http://www.alwaysontherun.net/hanne.htm

Posted by: katute | 2009.07.16 at 02:54 PM

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