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2009.07.31

存外でした、キングさん。

……当時スティックスヴィルあたりでは普通だった四世帯、ないしは六世帯単位の共同加入電話で近所同士、互いを気遣う小さな世界に位置していた。外の大きな世界では、若者は大学へ行かず、遠い国へ出掛けてジョンソン大統領の宣戦布告なき戦争を戦い、多くが柩に入って帰還した。母はリンドン・ジョンソン大統領の貧困撲滅戦争には賛成で、私も戦っているのよ、とよく言っていたが、東南アジアで大統領がやっていることには断固反対だった。私は一度、志願して戦場へ行くのも悪くないのではないか、と洩らした。小節の材料がいくらでも転がっているだろう。
 母は言下に反対した。「馬鹿なこと言わないで、スティーヴン。あなたは目が悪いから、きっと真っ先に弾に中るわ。死んだら書けないでしょう」
 母は本気だった。頭で考えるだけでなく、心からそう思っていた。
———スティーヴン・キング『小説作法』〜「生い立ち」の21から

一冊も読んだことがないけど、何故かタイトルにひかれて古本を買ったら捻曲がった側線が文字列を打ち消すように引かれててガッカリ感が湧いたのだけれど、読み始めたら止められなくなった。上手い!訳文も憎い。
ただ人名に付される脚注の在処が不思議だ。その人じゃなくて、こっちは誰なの?リストを読者は作成する必要がありそうだ。
それにしても、政治的現実がこうして高校生で既に戦争と夜勤労働に挟まれてある。
どこか受け留め方の、現実との浸透力が、異なってるような気がする。

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Comments

息子のジョー・ヒルも思いの外、書けるよ。

Posted by: 本人 | 2009.08.03 at 01:00 PM

スティーヴン・キング商店の創業と運営についての手引書。
モダンホラーの旗手だからスリルと恐怖もあるが、読者の涙腺を緩めることも忘れない。。。参りました。

Posted by: katute | 2009.08.05 at 01:46 PM

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