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2009.08.29

CD試聴記

HANNE ORVAD
Corona

ON PHOTOGRAPHY
Dedicated to the memory of Susan Sontag

GLORIOUS HILL

PHILIP GLASS
Violin Concerto・Company・Prelude and Dance from Akhnaten

ACUSTICA
Mauricio KAGEL

Mauricio KAGEL
Szenario
Duodramen
Liturgien

HANNE ORVAD
Corona
グラデーションが綺麗だったから、ジャケ買い。自称“空の狂人”の重箱詰めの鯉のイラストを知ってたら、きっとそうするだろう色合い。
聞けば、マドリガル風な合唱曲で、特に現代音楽を名乗る理由は浮かばないけれど、道具箱が整理整頓されてて、適切な技を繰り出してくる賢い人だと思える。
特徴のある味付けが独自のセンスなのに、けれど本人は、それと気付いてないらしく普通のマドリガル組曲を目指してるのかしら。

ON PHOTOGRAPHY
Dedicated to the memory of Susan Sontag
自身のレーベル発の、ラトヴィア放送合唱団によるギャヴィン・ブライアーズ合唱曲集。伝統的な英国合唱スタイルはシンプルで些か意外。ソロ/トゥッティの強弱対比以外はひっそりとして、主には弦楽器を独り黙々と、ハーモニー・ヴァリエーションを弾きこなしている佇まい。
刺身のつまにMaskatsとSilvestrovの作品が挟まってる。
主人よりも客人の方がより対位法的な装いが凝らされている。

GLORIOUS HILL
先に続いてラトヴィア放送合唱団との二作目は、キャドマン・レクイエムと、ラテン・テキストのルネッサンス期のようなアカペラ作品。
そして今度の刺身のつまは民謡風なEsenvaldsとシアターピース風のVasks。
床の音、教会の響き、外の風の音。それもステキ。

PHILIP GLASS
Violin Concerto・Company・Prelude and Dance from Akhnaten
これまでそういう意識がなかったけど、ヴァイオリン協奏曲が、ヴィヴァルディの、ヴェネチアの水平線を染めて燃え広がる黄昏の赤い落日、と、ソックリ。

ACUSTICA
Mauricio KAGEL
ジャケットは可愛いんだけど、きっと舞台を観たらダダ公演なんだろう音が溢れる。
解説と写真で音楽からの逸脱もしくは延長を説いてるようで、ノイバウテンより音量はおとなしくても、目指すは同類か。
初演と再演の二つのヴァージョンが収録してある。
カフカの文体で書かれた不条理な短篇映画、やっぱりチェコの、アニメとか影絵芝居とか、そんな感じがする。
ちょうど、デュラス『アンデスマ氏の午後』のような文体を思い浮べてしまう。この小説がこういう音がするのでなくて、あくまで文体の話し。

『アンデマス氏の午後』は脳内映画のスクリプトを口述筆記したもので、コンセプチュアル・アートとの親和性を感じる手法だ。そしてシークエンスの切り返しに一行空きを置くのは叙情のため。
前半は背景を作るためで、第二部で提示されるサスペンスは巧みに終幕以降までに持ち越される。
朗読劇、ラジオ放送劇、いずれにせよ声のための作品でありから、映像を喚起する表現であって、映像を説明するための記述はない。それはベケットを想わせる。
記述は、口述筆記の方が遥かに素晴らしい仕上がりを見せるようだ。
キーボードじゃ無理か?

Mauricio KAGEL
Szenario
Duodramen
Liturgien
「アンダルシアの犬」に付けられた音楽は執拗な足音がサスペンスを盛り上げるのだろう。デュラスとの差異は、明瞭で、実在の映画フィルムに合わせた尺を守って音を付けなくてはならないために表現が限られてしまうから、ヒッチコック映画のバーナード・ハーマンを目指してるようにさえ聞こえる。つまり本当に映画監督と仕事したことがないのではないか。もっと気を遣った音作りならいざ知らず、こんな犬の声なんていらないと思う。
次の、ソプラノとバリトンの掛け合いは、諧謔精神で、演劇か映画の模倣のようなシーンを作り出し、暴力とサディズムが伺えるのであって、楽器法はそうかも知れないが後期ロマン派ではないだろう。
三曲目はグルベンキアン合唱団の登場する宗教音楽。セヴン・シスターズの石油利権に割り込んだ謎の男グルベンキアンはリスボンで芸術に全財産を投じた。まぁそれは関係ない。宗教音楽も、もしかしたらモドキなのかと思う。神のパロディを讃えるのだとしたら念の入ったことだが。。。いやいや先入観。

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