CD試聴紀:感謝祭週間に
フィリップ・グラスを知ったのは映画「コヤニスカッツィ」で、だった。圧倒的な音と映像の洪水。
オペラ THE VOYAGE は、そうすると、コロンブスのアメリカ到着500年記念としてメトロポリタン・オペラに委嘱され、リンツ(欧州の境界?)で録音された作曲者自身のストーリーを台本化した作品で、全体がミニマルであるのは言わずもがなで、それがロマンチックで叙情的な歌唱で構成されているのも、どこか映画の印象を覆すように思える。
このオペラを祝祭的テーマと捉える作曲家が、いつになくノリノリで音楽を愉しんで紡いでいる様子に違和感を覚えるのは、あるいは、未来の歴史が評価するだろうと軽いSFタッチで告げるのか、こうした出発点から発した現代の誤謬とでも呼ぶべきアメリカ文明への批判と理解すべきか、それも判然としない。
グラスの声楽作品として、ようやくに聞きごたえのある作品に出会えたのではあるが、プーランクのような響きと、ハリウッドの独立系プロダクション好みの文法がかいま見える。
The Concerto Project Vol.II
Piano Concerto No.2, After Lewis and Clark
Concerto for Harpsichord and Orchestra
ルイスとクラークはアメリカ開拓初期に東海岸から西海岸へと大陸を横断して後の先鞭を付けたとしてフロンティアの象徴となった。
音楽は珍しく技法的で、中間楽章ではインデアン・フルートを迎えジャズセッションのようだ。
チェンバロ協奏曲はバロック音楽へのオマージュだろうと思う。
感謝祭の由来はネットでブライアン・ウィルソンの「感謝祭伝説の実態」を読むと良いだろう。
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我が「文明」の本質を規定し顕現化を導いた体験 ─ 感謝祭伝説の実体
S・ブライアン・ウィルソン
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/871
Posted by: katute | 2009.12.24 02:12 PM