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2011.02.23

読了:スタニスラス ドゥアンヌ『数覚とは何か?―心が数を創り、操る仕組み』


スタニスラス ドゥアンヌ『数覚とは何か?―心が数を創り、操る仕組み』

2011.02.14:読了。 テーマは明確。 人も含めて、動物はなぜ数えられるのか、なんのために数えるのか(この2つ目は自明か) 人は、いつ(何歳)から数えられるのか 数学の閃きは何処から来るのか 数学が物理世界と(これほどまでに)一致するのは何故なのか これらの著者なりの答えが、この本である。

数学その物は、プラトン主義者(アラン・コンヌら)たちの言う静的なものではなく、発展進化する科学としての数学だとする立場。
サヴァンの能力については、選択と集中で説明できるとする。多分、そうだろうと思う。後は、どこまで集中で伸ばせるかではないか。その辺はサッパリ書いてないし、どこかで研究されているというのも無いようだ。

以下、この本で検証されている内容の一部。
人間の脳の中では、差が大きいほど、数値自体が大きいほど、認知が速い、つまり、数値の比較は概算化されてから、行なわれている。
1らしさ、2らしさ、3らしさは確実だが、それ以上は実は数ではなく量として認識している。距離の効果と言う。大きい数ほど認知が遅く、相対的な差が小さいほど認知が遅い。1と2よりも、7と8の方が時間が掛かるのだ。
このことから、1、2、3までは自動カウンターがある。動物と共通。と結論。
自閉症児の高速カウント(レインマンのエピソード)はトリックとして信じてないが、検証はしていない。ここがちょっと残念。
また、教育/文化によって、右、上が大きい方と言う数直線物差しを感覚に埋め込まれているだけだと。実験すると、イラクの学生は大小のイメージが逆だった(字が右から左だから)。
驚くのは、0歳児でも足し算引き算が出来ること。注目時間を測って、引いた結果と違っている方がより注目している、異常を感じていると判断する訳。
数値と文字が1対1対応のままだと、大きな数は逆に想起しづらい。抽象化された今の数字の方が扱い易いらしい。
念のため、実験結果、事故等で障害を負った人々の観察結果からの結論は、すべて、統計上の話だ。正答率が高いとか、そういうこと。
ランダムな数字は7つまでしか覚えられないというのは、米英の学生だからだった。中国語や数詞が短い国の学生たちは10個くらいは覚えられる。2秒くらいの短期記憶容量内で繰り返し想起するためには短い数詞でないと難しい、また規則的でないと記憶のためのコストが高い。計算もそうだ。アジア圏は有利だと結論。
就学前に加法の可換性や数え直しを減らす工夫は体得しているらしい。
足し算も掛算も、誰もが表や詩で覚えてる。そりゃそうだが。あちらの学校では、繰り上げ繰り下げについて教科書では規則を1つずつ説明していないとのこと。
失算症!これは驚いた。ここまで分割された機能(実際には、障害部位)が、局在化している。数え上げ、足し算、引き算、諸々、そこだけ壊れる障害がある。
本から離れるが、■「基礎が大事」という本当の意味を理解しているか?の中で引用している「何故私は計算が小学校で一番速かったのか? - やねうらお-よっちゃんイカは侵略!イカ娘の夢を見るでゲソ!」「FF(16進数の掛け算)を覚えよう - やねうらお-よっちゃんイカは侵略!イカ娘の夢を見るでゲソ!」は、本書中で指摘される、子どもたちや99を忘れる障害を持った人の計算の計略を思わせる。
この著者は、絶対に、機能局在説(骨相学!と言い放つ)は取らない、量を認識する部分とか特殊化した回路はあっても、それだけで機能が実現できる訳が無い。
この部分も含めて、タメット氏と対話して欲しいな。
閑話休題。
この本の主張は、直観主義。ブラウワの(排中律無しの)ではなく、アナログの数量をベースにした直感を基礎に置く直観主義を主張している。数学は出来上がった形式論理の集合ではなく(人間はそうは計算していない)、個々の値の概算を先に出して、それから比較とか計算している!
だから、そのアナログとデジタルの混合した概算こそが、数学的直感だと言いたいようだ。
数学が、この物理世界と非常に良く一致するのは、生存バイアスと言うか、一致する数学しか見ていないからだ。数学の方が遥かに広いのだが、物理世界に一致するものだけを取り上げて、不思議がっているということだろう。

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Comments

http://d.hatena.ne.jp/shorebird/20100913#1284328212 で見て知ったのだった。

Posted by: 本人 | 2011.02.23 at 06:47 PM

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