読了:ブライアン・ヘイズ『ベッドルームで群論を――数学的思考の愉しみ方』
ベッドルームで群論を:みすず書房より引用:
目次
はじめに
1 ベッドルームで群論を
マットレスを一定の操作でひっくり返し、マットレスがとりうるすべての配置を順繰りに実現する方法はあるのか? 群論は、「マットレス返しの黄金律」が実はこの世にないことなど、興味深い事実を教えてくれる。
2 資源としての「無作為」
「無作為(ランダムさ)」が枯渇するかもしれないとは、ふつうは考えられていない。非常に質の高い「無作為」は有益であり価値もあるのだが、困ったことに、わたしたちは無作為を生みだす術を知らない。では、無作為をどうやって入手する?
3 金を追って
金持ちはさらに豊かになり、貧乏人はさらに貧しくなる。それを裏付ける事実には事欠かず、そこに抗いたがい物理法則があると思えてくるほどだ。わたしたちの直感が当たっているかどうか、富の分配をシミュレーションしてみよう。
4 遺伝暗号をひねり出す
DNAの二重らせん構造の解明以降、生物学者たちは「遺伝暗号」解読のパズルにこぞって取り組んだ。わたしはその当時の研究に魅せられた……理論家たちが編みだしたエレガントな暗号にくらべれば、本物の遺伝暗号のほうが見劣りするほどだ。
5 死を招く仲違いに関する統計
ルイス・フライ・リチャードソンによる武力衝突の数学の研究によれば、戦争は気体分子の衝突のようにランダムで、いつどこで起こるかをあらかじめ知ることはできないが、長期的に見ればいくつくらい起こるのかはわかる。
6 大陸を分ける
北米大陸を横断するときに、分水嶺が最も高い地点になるとはかぎらない。だとすると、分水嶺を分水嶺たらしめているのはいったいなんなのか。幾何学的なものなのか、それともトポロジー的なものなのか。
7 歯車の歯について
計算の歴史において、歯車がいかに重要だったかは想像にかたくない。しかし、歯車の歴史において計算がどれほど重要だったかは、あまり知られていない。歯車の歯の数を計算するアルゴリズムを模索した、時計職人たちの思考の跡をたどる。
8 一番簡単な難問
n個の整数を2組に分けて、2組の整数の和がなるべく近い数になるようにする。子どもたちが力の拮抗する2つのチームを作るのにも似たこの課題は、実は「NP完全」という、難しいことで悪名高い問題に分類されている。
9 名前をつける
物に名前をつけたり番号を振ったりする作業は、今や大きな頭痛の種となっている。いろいろなものの「名前空間」が、すでに満杯になりつつあるのだ。それに、名前のつけ方にうまい下手があるのなら、やはり賢明な名前をつけたいではないか。
10 第三の基数
人間は10ずつまとめて数え、機械は2つずつまとめて数える。それらほど広く知られておらず、使われてもいない3進法には、実はユニークな利点がある。さあここで、3進法のすばらしさをご堪能あれ。
11 アイデンティティーの危機
等号 = の意味は、一見明快なように見える。しかし、同一や均等といった概念の微妙さは、ときとして数学の世界に問題を引き起こす。またコンピュータの世界では、2つのものを「同じ」にするにも、それを確認するにも技術が要る。
12 長く使える時計
長期的な視点でものごとを考えるのは難しい。実に一万年使えるストラスブールの時計は、どんな展望をもって作られたのだろう。人が「未来の世代のため」に語るとき、それは誰にとって望ましい未来なのか。
訳者あとがき
参考文献
索引
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